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| 2008/10/24 | 思わぬ遺産 | 何年か前のことである。電話のベルがなったので受話器を取ると懐かしい声である。友人から、妻に変な手紙が来ているので事務所の方へ行くから見てほしいという内容であった。 数日後、奥さんを伴って友人が事務所にやってきた。奥さんから、詳しく手紙の内容を聞くと、東京の弁護士さんからの手紙で、奥さんの叔母さんがアメリカで亡くなったが、叔母さんには子供がなくアメリカ人の夫も先に亡くなっているので、貴方と弟さんが相続人である旨、そして遺産がある旨の内容で、遺産額は、分からないが相続できるようにするから協力して欲しいとのことであった。奥さんから、事実関係について尋ねると、『私の母の妹でアメリカへ渡った人がいることは母から聞いて知っていたが、一度お会いした位でほとんど覚えていない』とのことであった。また、『なんだかややこしそうなので関与したくない』とも言っておられた。 私のほうからは、もう少し詳しく、東京の弁護士さんに尋ねてから返事をするようにアドバイスしてお帰りいただいた。
暫くして、また友人から電話である。奥さんに代わるから、経過を聞いて欲しいとのことであった。奥さんいわく、『東京の弁護士さんに、いろいろと尋ねてみたが、なんだか難しい言葉が出てくるので、理解できないのでお断りします』とのことであった。 私からは、相続というのは、プラスの財産もあればマイナスの財産もあるから、慎重に考えて結論を出すようにということと、わざわざ、アメリカから連絡してくるのだから債務超過の相続はないのでは?とも言っておいた。
また暫くすると、電話がかかってきた。奥さんからである。『また、書類が送られてきたのですが、私には理解できないので、見てもらえませんか?』とのことである。早速見せてもらうと、今度の書類は、アメリカで仲介に入っているのがドイツのH銀行で、H銀行から東京の弁護士さんに依頼して、相続人を捜索させて連絡するようにしたようである。書類の中身は、経過説明文書と契約書並びに、依頼するのであれば、送って欲しい公証人役場で作成する委任状の原案が入っていた。 契約書を見て驚いた。遺産額から必要経費を差引いた金額の30パーセントを、H銀行が報酬として受け取ること。残金を、あなた方相続人に分配するとの内容であり、遺産総額等詳しいことは、今の段階では、教えられないということである。私は、直感的に、ははーん、これはあるな、いくら位あるかはわからないけれどプラスの遺産が存在すると見た。 しからばと、奥さんに、『契約書にサインして、委任状と共に送ったらどうですか?』とアドバイスをした。債務超過の相続に銀行が首を突っ込んでも、何の得にもならないからプラスの遺産は必ずあると読んだ。それでも奥さんは、『今現在、私は、生活するのに何の不自由もありませんし、変なことになったらいややから』と、二の足を踏んでいるので、私から、東京の弁護士さんに、一度連絡して詳しい話を聞いてみるから、それで、納得できるようだったら、H銀行の依頼に応じるということになった。その場で、東京の弁護士さんに電話をすると、すこぶる感じの良い方で、『先生の方から、是非、説明してやって下さい。』と、逆に頼まれた。 弁護士さんのお話、『アメリカの相続法は実に合理的にできています。人が亡くなると遺言がない限り遺産について、遺産管理人が裁判所で選任されます。遺産管理人は、遺産を金銭に変え、又、相続債権者に弁済し、残った遺産を相続人に分配する。債務超過の場合でも、相続債権者には、遺産の範囲内でのみ支払えばよく、相続人にマイナス遺産が及ぶことはありません。』という説明であった。
この説明をお聞きして本人に伝えると、安心したようなので、早速公証人役場に予約の電話をして、奥さんと弟さんを連れて行き、英文の委任状を作成してもらい東京の弁護士さんに送りました。
10ヶ月くらい経過したある日、奥さんからの電話である。山盛りの書類と銀行口座を教えて下さいという内容の書類がきたので持っていくから見て欲しいと連絡が入った。来所されて、書類を見ると、ほとんど英文である。私は、自慢じゃないけれど、英語は苦手です。しかし、よく見ると、領収書らしき書類が綴られていて全体として報告書らしい。ちんぷんかんぷん。またもや、東京の弁護士さんに奥さんが電話で尋ねると、『アメリカの法律では、相続人に対して、遺産管理人が仕事を終了したら報告する義務があるそうで、その報告書を送ってきたのでしょう。』とのことであった。
しかし、奥さんは、『私と弟の銀行口座番号なんか教えて大丈夫かなー』と、またもや心配顔。私のほうから、『お金の入ってない銀行口座を教えたら』と、一言。『そうね、それだったら、ハッキングされても安心ねー。』ご納得していただいて、銀行口座番号を記載した書面を郵送されました。
2週間ほどして、奥さんから電話がかかってきて、御礼にお伺いしたいとおっしゃるではないか。『お言葉だけで十分ですから、わざわざお越しいただく必要はないですよー。』と、言っておいた。暫くたったある日、友人と奥さんが来所され、ご丁重にお礼の言葉を述べられて、お菓子を置いて帰えられました。
いくら位送金してきたのかは、分かりませんが、でも、知りたーーい。でも、聞けませんでした。 完 | | | |
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| 2008/09/25 | 相続人 | 最近、相次いで同じようなケースの相談がありましたのでご紹介します。それは父親が再婚し、継母となった人を最期まで看取った子供からの相続の相談でした。相談者のAさんは継母と養子縁組をしていなかったので親子関係がなく、継母には実子はいません。継母の両親及び配偶者の父親も先に亡くなっているため、継母の相続人は継母の兄弟となり、そして兄弟が亡くなっていたら、その兄弟の子供たち(継母の甥、姪)が相続人ということになります。葬式も今後の法要もすべてAさんが執り行うことになるのですが、Aさんは相続人ではないために継母の遺産を相続することはできないのです。相続人がまったく不存在の場合は特別縁故者(生計を同じくしていたり、病養看護に努めたもの)への遺産分与という制度がありますが、相続人が存在するかぎりそれは認められないのです。このような場合Aさんが遺産を取得するためには、まず相続人全員によって遺産分割協議をし、誰か一人または共同でそれらを相続して、その上で相続した人からAさんに贈与してもらうことになります。この時、贈与という形式になりますので思わぬ税金がかかってしまうことがありますので注意が必要です。また相続人の誰か一人でも協力をしてくれない人がいると訴訟上の解決を求めなければならないこともあるのです。 本当の親のように看護してきたのに、なんとも理不尽な法律だなと思わずにはおれない相談でした。父親が再婚をしたとき、先妻との子供は、継母と当然に養子縁組されませんので、どうぞお気をつけてください。
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| 2008/06/18 | 居住用財産の売却 | 先日、居住用不動産の売却に伴う所有権移転登記の依頼がありました。土地の所有者は、その土地上家屋に住んでいるAさん。家屋の所有者は別のところに住んでいる弟のBさんでした。不動産を購入したのは約30年前で取得価格はわからないとのこと。このまま売却したらAさんにもBさんにも長期の譲渡課税がなされるけど承知されているのかなと思いました。そしてAさんに「このまま売却したら、居住用財産の特例は適用できず、約500万の税金がかかりますよ」と忠告をさせていただきました。居住用財産の3000万円特別控除とは、居住用財産を売却した場合、譲渡価格から取得価格及び取得費用や譲渡費用を差し引いた残りが3000万円以内なら譲渡所得がかからないというものです。この特例を適用するには現に居住している(又は居住の用に供さなくなってから3年を経過する日の属する年末までに譲渡した)家屋を売却することが必要です。本件の場合、家屋の所有者は居住していないBさんですからこの特例を適用することはできません。また居住しているAさんは土地のみの所有者ですからAさんにも適用されないのです。Aさんは、土地の売却代金から売却代金の5%の取得価格を引いた20%の税金がかかります。Bさんにも同じく家屋の売却代金から建築費価格を引いた20%の税金がかかることになります。そこでBさんからAさんに贈与税がかからない範囲で家屋の持分を贈与して、家屋はAさんとBさんの共有という状態にしてから売却することになりました。これでAさんは居住用家屋を土地とともに売却することで3000万円の特別控除が適用され、Bさんは建物の一部の譲渡ですから、譲渡益も減額できることになりました。結果的に約500万の税金の支払いが免れ、依頼者から大変喜ばれることとなった事件でした。
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| 2008/03/13 | 売却も計画的に | Aさんは,国民生活金融公庫や消費者金融約10社,並びに友人8人からお金を借りているいわゆる多重債務者です。Aさんは,昨年末に会社を退職し5月頃に新しい会社に就職したばかりで,所得は生活費をまかなうほどしかありません。 先日債務整理の相談に来られ,債務額を調べたところ約2400万円ありました。 Aさんには親から譲受けた駐車場用地(一部の債権者は抵当権を設定しています)があり,不動産業者に問い合わせたところ2400万円くらいですぐに売却できますとのことでした。 借金の返済に疲弊していたAさんは,早速その不動産を売却し,債務の全額を返済し楽になろうと考え,不動産業者とその不動産の売却につき仲介を依頼しました。 幸いにもすぐに買手は見つかり,契約を交わす運びとなったのですが,不動産売却にかかる税金のことをすっかり忘れていました。すぐに税務署に行き税金がかかるかどうかにつき確認したところ,約450万円の譲渡所得税がかかるとのことで,途方に暮れているとのことです。借金の返済のために不動産を売却するにも計画が必要という事件でした。
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| 2007/11/19 | 多重債務者 分かれ道 | これは日本経済新聞の平成19年9月7日の生活面の記事のタイトルである。去年出資法、貸金業規制法などが改正され、段階的に施行されているが、法定上限金利の引き下げ、貸出金額の総量規制などを控え、消費者金融各社が貸し出しを絞り込みを始めている。その結果、いままで新しい借り入れをしながら返済を続けてきた人も、新たな借り入れを断られたり、借入限度額を引き下げられたりして、返済に窮するようになってきていると伝えている。この人たちが、適当な法律家、被害者の会などに出向き救済されるか、それができずに、ヤミ金に引っかかったり、逆に自らが犯罪者になったり、自殺したりの分かれ道が目の前に迫っている。 記事によると現在、日本には、借入先が5件以上の多重債務者が約230万人に上る。日本の総人口は1億2776万8千人(平成15年度統計)なので、国民の55人に一人は多重債務に陥っている計算である。これを私が事務所を置く枚方市に当てはめると、人口40万4909人のうち、およそ7,300人の多重債務者が存在(潜在)することになる。もし、ひとりで頑張って毎月5人の債務整理をしたとすると、121年以上かかるほどの人数である。 政府は、平成19年4月20日、多重債務問題改善プログラムを発表し、多重債務者掘り起こしの窓口として、法律家などに比べて市民にとって敷居の低い、また徴税業務などを通し市民の窮状を直接感知できる行政窓口の役割を重視し、強化しようとしている。その一環として、12月10日から12月16日を「全国一斉多重債務者相談ウィーク」とし、12月12日・13日に無料相談会を実施する。 この相談会の効果として「自治体の相談員等が弁護士・司法書士と同席して多重債務者相談に当たることにより、多重債務者相談に関する経験を積むことが期待できる。」ことが挙げられているが、大阪では、12日は弁護士が、13日は司法書士が担当するので、行政サイドが、弁護士と司法書士の優劣を評価する場にするのではとも考えられている。この点、私も含めて当日参加者は責任重大だ。また、この相談会も含め、行政からの多重債務事件の紹介に対しては、原則として「直受」を求められるそうである。総額で過払いになるケースもあるだろうが、ヤミ金に手を出していたり、ギャンブル依存症で相談を受けるまでに2,3回肉親の援助を受け、清算している人もいるであろう。その他不動産がらみ、事業がらみの難解な事件もある。各市の「多重債務者問題に取り組む司法書士会員リスト」に登載された司法書士は、いかなる債務整理においても解決を求められることになる。なお一層の研鑽と司法書士間の連携・協力が必要であろう。 私の実務における課題として、枚方地区において跋扈する地元マチ金問題がある。一応登録業者であるが、生活保護受給者を狙ったり、相保証でがんじがらめにしていたり・・・。また、最近では、廃業、債権譲渡などによる過払金の不返還や一括弁済の要求が見られる。全国的な問題もある一方、地域で情報集約して対処・解決すべき課題もあるので、北大阪支部としての統一行動をとることにより「町の法律家・司法書士 ここにあり!」というところを示したいものである。
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| 2007/07/31 | 生前贈与 | 山田太郎さんは、永年勤めた会社を定年退職し、長男夫婦と自分名義の家に同居しています。 妻は、数年前に病気で亡くなりました。 年金暮らしで、財産は自宅の土地と建物ぐらいです。 悠々自適の生活ですが、気がかりなことがあります。 それは、自分が亡くなった後のことです。 子供は長男、長女、次男の3人ですが、互いに、仲が良くないのです。 自分としては、自宅の土地と建物を、今まで色々面倒をみてくれた長男に譲ってやりたいのですが、そうすると、長女と次男が納得しないと思うのです。 遺言書を書いておこうと思いましたが、遺留分の請求をされると、結局、不動産を売却することになると聞きました。 そんなある日、新聞の見出し「相続時精算課税制度 65歳以上の親が20歳以上の子供に生前贈与する場合は2500万円まで非課税」が目にとまりました。 早速、法務局の相談コーナーで手続きを教えてもらい、長男への不動産贈与の登記を済ませ、これでもめることもないと安心していました。 ところが、翌年、長男に、税務署から金970万円の贈与税の納付書が送られてきたのです。 あわてて税務署に問い合わせたところ、贈与をした年の1月1日に親が65歳であること、翌年に確定申告することの2つが、相続時精算課税制度の非課税の条件であると教えてもらいました。 山田太郎さんはこの2つの条件のことは聞いていなかったのでした。 途方にくれた山田太郎さんは当事務所に相談にこられました。 話を聞くと、多額の贈与税を支払うことはできないので贈与はなかったものとしてくれとのことでしたので、錯誤を原因に贈与の登記を抹消(所有権抹消)しました。 先に納付した登録免許税は無駄になってしまい、抹消にまた費用がかかってしまいました。 山田太郎さんはこの失敗で名義変更をする意欲がなくなってしまい、もう少し考えてから次回は当事務所にて、贈与登記をお願いすると約束して帰られました。 先のことを心配して対策を講じても、子供が先に死亡するかもしれないし、何が一番良い方法なのか、アドバイスをすることは中々難しいことだと思った次第です。
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